政治家はなぜ選挙で選ばれるのか

執筆者:宇野重規2012年12月10日

質問 「なぜ政治家は選挙によって選ばれなければならないのですか?」

 

 いよいよ衆院選が公示されました。日本の今後を決める重要な選挙になりそうです。

 ところで、これまで選挙というと、散々な評判でした。たとえば、こんな声をよく耳にします。何であんなことをしないといけないのか。選挙戦を見てみればいい。宣伝カーはボリュームをあげて、ともかく候補者の名前を連呼するだけ。政策の話なんて、ほとんど出てきやしない。その上、投票日までは土下座せんばかりだった候補者も、当選した翌日からは選挙民のことなんてすっかり忘れてしまう。あんな選挙のために、なんでこれほどの時間とお金をかけるのか……等々です。どれももっともで、たしかに選挙というのは、壮大な無駄かもしれないと思うときがあります。

 

「コンドルセのパラドックス」

 

「民主主義とは頭をかち割る代わりに、頭を数えることだ」という言葉があります。意見や利害が対立した場合に、力ずくの勝負で決着をつけるのではなく、投票による人数の大小で決定するというのは、たしかに一歩前進なのかもしれません(今日も世界の各地で内戦が起きていることを忘れてはいけません)。議論が錯綜した場合にとりあえず多数決で決めるというのは、そこで出てくる結論の是非はともかく、それ以上争いを続けさせないという意味では、一定の有効性はあるのでしょう。

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