自民党を「勝たせすぎた」投票のメカニズム
2012年12月22日
共同通信社の電話世論調査によると、自民党の完勝に終わった衆院選の結果を「よかった」と評価した人は、わずか33.3%だった。
テレビの情報番組でも「民主党は絶対だめだけど、自民党がこんなに取るとは……」「安倍さん(晋三総裁)には期待なんかしていない」といった、驚きや失望を語る“街の声”があふれていた。
今回の選挙では、世論の皮膚感覚と結果の間に、大きな隔たりができてしまったようだ。だが、このズレは、起きるべくして起きたともいえる。
「多党乱立」の余波
今回の衆院選で自民党の得票率は小選挙区で43.01%、比例代表は27.62%だった。一方、獲得議席は小選挙区が300議席中237議席で79%、比例代表は180議席中57で31.67%。小選挙区の得票率と獲得議席の36ポイント近い乖離が目を引く。
小選挙区制は民意を集約して2大政党制に導くとされる。そのため、「死に票」が増えて民意が正確に反映されないという問題点も指摘されてきた。だが今回の得票率と獲得議席のズレは、単に「小選挙区制だから」という理屈だけでは説明できない。
2003年、小泉自民党と菅民主党が争った衆院選での自民党の議席と比較してみたい。この時も今と同じ制度で行なわれた。
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