「小選挙区制」批判は正しいか

執筆者:待鳥聡史2013年1月18日
 「過剰な勢力変動」の本当の原因は(c)時事
「過剰な勢力変動」の本当の原因は(c)時事

 昨年12月に行なわれた衆議院選挙では自民党・公明党があわせて325議席を獲得して圧勝し、3年3カ月ぶりの政権交代が実現した。その一方で民主党は170議席以上を減らして60議席を下回り、躍進した日本維新の会(維新)とほぼ同じ議席数となった。政党の議席数の動きで見る限り、日本政治には大きな変動が生じたといってもよい。

 しかし、今回の選挙結果や政権交代に対して、有権者の評価はあまり芳しくないようだ。その大きな理由は、比例代表での得票率や獲得議席比率(議席占有率)から見れば30%程度しかない自民党が、小選挙区をあわせれば単独で294議席、議席占有率61.3%、公明党の31議席とあわせれば衆院の3分の2を超える勢力となったことへの違和感であろう。また、選挙前には10以上の政党が乱立した選挙になったこと、民主党も維新も第2党として自民党に対抗するにはあまりに小さな勢力になったことも、政党間の実効的な競争関係を弱めるという見方もあるだろう。

 

小選挙区比例代表並立制への2つの批判

 第1党の圧勝と第2党の惨敗は前々回の2005年、前回の2009年の衆院選でも見られた現象である。ここから、3回連続で過剰な勢力変動を引き起こした現在の選挙制度に対して批判的な意見が強まり、今回の選挙報道においても多くが「小選挙区制の破壊的効果」や「マジック」について触れていた。衆院解散前の民主党と自民党・公明党の合意によって衆院の定数削減に今後取り組むこともあり、同時に現行の小選挙区比例代表並立制を改めるべきだという意見は、政治家やメディアだけではなく、有権者にも増えているようだ。

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