韓国「核実験」が広げる波紋

執筆者:バービーナ・フワン2004年10月号

[ワシントン発]九月九日、北朝鮮北部で起こった大爆発は、すわ核実験かと韓国で大騒ぎになった。しかし当の韓国も、過去にプルトニウム抽出とウラン濃縮実験を行なっていたことを公表して、周辺各国を驚かせたばかりだった。 九月はじめ韓国政府は、韓国原子力研究所が二〇〇〇年一月と二月に、一〇%の濃縮ウラン〇・二グラムを作ったことを公表。八日には、八二年に二・五キロの使用済み核燃料を使って数ミリグラムのプルトニウムを抽出したことも認めた。さらに五日後、八〇年代にウラン転換実験を未申告で行なったことも明らかにした。 八二年と二〇〇〇年の極秘実験はどちらも成功とはいえず、微量の抽出プルトニウムと濃縮ウランは核兵器開発に使えるようなものではなかったようだ。韓国政府は二つの実験を「勝手な科学者が好奇心を満たすために行なった政府認可のない実験」として、科学者個人の責任にしようとしている。 しかし、政治的にも法的にも、核実験がもたらす結果は重大で、やはり韓国は核武装の野心を捨てていないのではないかとの猜疑心を招いた。実際、韓国には七〇年代はじめ、朴正熙大統領の下、核兵器開発に着手しながらも、アメリカの圧力で諦めた過去がある。七〇年代、米中が国交を正常化し、ベトナムが共産化するなかで、在韓米軍が一個師団削減された。核開発の背景には、アメリカが韓国を見捨てるのではないかとの不安があったのだ。

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