ダイエー処理の「無様な延長戦」

執筆者:2004年10月号

金融庁と産業再生機構の目論見は、ウォルマートなど新たな役者が登場する中で足下から崩れて行った。 ロッテ・重光昭夫オーナー代行は、事の不可解さに唖然としたに違いない。近鉄とオリックスの統合に続くプロ野球の“もう一つの合併”は、「ロッテ―ダイエー」の組み合わせが本命だった。 重光オーナー代行がダイエーに統合の秋波を送った七月中旬。ダイエーの中内正オーナーがそれに対して前向きな回答をした時点から、パ・リーグ再編=一リーグ制への移行というシナリオは一気に現実味を増し始めた。 結局は幻に終わったこの球団合併にも、ダイエー本体の処理は密接に絡んでいた。本体のメーンバンク三行は「産業再生機構入り」を唱えている。そして本体が再生機構入りすれば、プロ野球協約に引っ掛かる可能性が高いため機構が球団を手放すと見られていたのだ。 八月末には金子一義産業再生担当大臣が「『再生機構ホークス』はない」と発言し、既定路線を改めて示唆。パ・リーグ関係者の間で「ダイエー球団は合併に動く」との確信にも似た観測が広がったという。 ところが一方で、球団を手放せば経営に悪影響が出るとするダイエー本体は、「単独で継続保有」と繰り返し主張し続ける。今年三月に福岡ドーム球場とホテルが投資ファンドの米コロニー・キャピタルに売却された際に、コロニーと球団は「ドーム球場を三十年間使用する」などの契約を結んでおり、今後も球団本拠地を福岡に置く必要があることも明らかになった。ロッテにとっては呑みがたい条件だ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。