海上自衛隊は来年度、毎年続けてきた護衛艦の建造を初めて見送り、その予算でインターネット環境を米軍並みに充実させる計画だという。 本来なら、来年度予算ではへリコプター搭載護衛艦「ひえい」の代替艦を建造する予定だった。代替艦は空母型護衛艦の二番艦で、一千億円という巨額の建造費がかかるが、海自にとっては虎の子の戦力。海自幹部は「それを見送ってでも情報通信拡充の必要がある」と力説する。 実は、指揮通信関係は海上自衛隊の弱点。ある海自幹部は「対テロ作戦支援のためにインド洋に派遣している艦艇の乗員と日本の家族を電子メールが結んでいるが、それすら満足にできていない」と語る。電子メールは民間の海事衛星通信(インマルサット)を通じて送られるが、通信費用がかさむため写真などの添付は制限されてしまうからだ。 任務のために送る写真や映像も、サーバー容量が小さいため、日本側で受信を拒否されるという心もとない状況。そこで、新たに通信衛星を打ち上げ、艦艇と地上基地の通信基盤を全面的に刷新する。予算額は六百八十億円に上る。

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