スー・チー女史のかくも長き不在

執筆者:2004年10月号

 ミャンマーの最大野党・国民民主連盟(NLD)が揺れている。NLDは、決定権を握るアウン・サン・スー・チー書記長(五九)と、同氏に近いティン・ウ副議長(七七)が昨年五月末以来、軍事政権によって拘束・軟禁中。二人が不在の執行部「中央執行委員会(CEC)」はアウン・シュエ議長(八五)以下七人で、その平均年齢は八十歳を超える。 ヤンゴンの党本部で先に開かれた全国州・管区代表者大会では、青年部代表らから、「スー・チー氏不在の間、何も決定できない執行部の責任は大きい」「スー・チー氏抜きで党勢を拡大する方策を模索すべき」など批判が続出。CEC若返りのため、メンバーを最大二十人に拡大する提案が出された。 しかし、同議長は「スー・チー氏の解放後に拡大の可否を決めたい」と決着を先送り。出席した地方支部代表者からは「NLDの形骸化を狙う軍政のシナリオ通りになってしまう」との声が相次いだ。 NLD幹部によると、軍政当局はNLDの地方支部に軍政シンパを送り込み、親軍政のNLDに変えようと企図。対立軸としてのNLDは存続させ、執行部を骨抜き状態にする計画とされる。

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