マレーシアの最高裁にあたる連邦裁判所が九月二日、異常性愛で禁固九年の二審判決を受けて上告していたアンワル元副首相に逆転無罪判決を下し、アンワル氏は即日釈放された。 同氏は一九九八年に当時のマハティール首相に解任・訴追された。そのため今回の判決はマハティール氏の影響力を排除したいアブドラ首相の意向が働いたとの見方が強い。 ところが、現地では判決はナジブ副首相に対するアブドラ首相の配慮の結果であるとされている。ナジブ副首相はマハティール前首相の信任が厚かったが、アンワル氏と近い関係にあったことから、アブドラ氏が後継首相となった。アブドラ政権は短命に終わり、いずれ本格的なナジブ政権が誕生すると見られてきた。 しかし、ナジブ氏がアブドラ首相への全面協力の姿勢を示し、アブドラ首相自身も長期政権への意欲をみせ始めたことから、情勢が変化。ナジブ副首相に免じる形でアンワル氏の無罪釈放を黙認したのが真相だという。首相は副首相に恩を売って安定政権への一歩を踏み出そうとしている。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。