ハタミ大統領の任期切れが来年六月に迫ったイランで、ラフサンジャニ前大統領が再び大統領職に意欲を見せている。現在、最高評議会議長として国内政治の調整役を務めている同氏は、最近になって保守派の集会で「体制と革命に必要とされるのであれば、二〇〇五年の大統領選に立候補することを厭わない」と語った。 一九八九年から九七年までの二期八年間、大統領を務めたラフサンジャニ氏は、カリスマ的聖職者として支持を集める一方、怪僧ラスプーチンにも喩えられる。ハタミ大統領が政府主導で改革を進めようと試行錯誤するのを尻目に、経済界ではいまだにラフサンジャニ派が隠然たる影響力を持つ。 ラフサンジャニ氏は「実務的かつ現実主義の保守派」と位置づけられる。ハタミ政権が保守派の強い抵抗に遭う中、改革の成果に幻滅した国民の間では再登板を求める声も根強い。他に次期大統領候補として取り沙汰されるベラチヤ元外相、ローハニ最高安全保障委員会事務局長と比べて“変幻自在”の交渉力が際立つだけに、「大統領に就任すれば核開発問題などで国際社会に揺さぶりをかける」可能性が指摘されている。

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