サウジアラビアの「次期皇太子」候補

執筆者:池内恵2013年2月3日

 サウジアラビアでムクリン王子(元総合諜報庁長官)が、2月1日に、第2副首相に任命された。http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-21293192

 意外に日本では報じられていないようなので簡単に記しておく。サウジアラビアでは国王が首相を兼任し、皇太子が第1副首相に任命される慣例となっている。「皇太子の次」の第2副首相に任命されることは、国王が死去して皇太子が順当に国王に就任した場合、あるいは皇太子が死去した場合の、次期皇太子候補の筆頭と目されることになる。67歳というムクリンの年齢は、サウジアラビアの近年の皇太子候補としては若い。

 現在のアブドッラー国王は88歳と高齢で近年体調の悪化が伝えられる。昨年11月に手術を受けた際は死去のうわさが駆け巡った。2月6・7日にカイロで行われるイスラーム諸国会議の第12回首脳会談にも欠席するとされ、健康状態と関係があるのか注目されている。

 サウジアラビアの体制の安定をめぐって不安があるのは、国王をはじめとした権力の中枢の高齢化であり、王位を「第3世代王子」に引き継ぐ際に生じうる混乱をどう回避するかである。

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