誰も買わない土地を売る金融商品のマジック

執筆者:石本量司2004年10月号

不動産投資信託(リート)が人気を集めている。個人投資家の購入も盛んだが、ブームの陰で「お荷物」不動産の大放出が進んでいるのを見逃してはならない。 不動産を運用対象とする金融商品が人気を集めている。代表的なのは「不動産投資信託」。Real Estate Investment Trustの頭文字を採ってREIT(リート)と呼ばれるものだ。いわゆる会社型投信で、東京証券取引所と大阪証券取引所に投資法人化されて上場し、株式と同じように取り引きされている。 東証に上場しているのは八月末で十三銘柄。その加重平均指数は昨年四月一日の公表開始時の一〇〇〇から、九月一日には一四一二・三七と約四〇%上昇した。同期間の東証株価指数(TOPIX)とほぼ連動している格好だが、今年七月以降は、伸び悩むTOPIXを尻目にリート指数は上昇基調を維持している。 運用利回りが他の投資対象に比べれば相対的に高いことや地価底入れへの期待が広がっていることが人気の理由。個人だけでなく機関投資家も積極的に購入しているようだ。リート指数の動きを見れば、「不動産景気」の到来を唱えたくもなる。 だが、現実は甘くない。市場関係者たちの間では、「一時的なバブル」(銀行系証券エコノミスト)との冷めた見方も決して少なくないのである。

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