スターバックス・コーヒーのインド出店も軌道に乗り始め、世界的な家具チェーンIKEAの進出もほぼ本決まりとなった。ファストファッション大手のH&Mもインドでの店舗展開を計画中とのことで、経済成長の減速に直面していたインドではようやく、サービス業を中心に海外投資が回復しつつある。あとは米ウォルマートが「公約」通りに本格的な(現在は会員制現金卸のみ)店舗展開に乗り出せば、小売業を外資に開放した昨年秋のいわゆる「ビッグバン改革」(下院での法案可決は同年12月)も成果をアピールできるようになるだろう。

 そして、またインドにとっては一つ明るいニュースが到来した。アジア屈指のLCC(格安航空)であるマレーシアのエア・アジアが2月20日、印最大の財閥タタ・グループなどインド企業2社との合弁航空会社設立を印政府に申請したことを明らかにしたのだ。件の「ビッグバン」では、民間航空部門の外資上限を49%に引き上げており、ここでも早速規制緩和の効果が出た格好だ。

 資産6億ドルを超えるアジアきっての著名起業家で、しばしば英ヴァージン・グループのリチャード・ブランソン会長と比較されるエア・アジアのCEO、トニー・フェルナンデス氏(48)はインド系マレーシア人。父は印南部ゴア州の出身だ。9・11米同時テロの直後という航空会社にとっては「最悪」のタイミングで、経営破たん状態だった政府系エア・アジアをわずか30円で買収、自宅を抵当に入れて中古のボーイング737を2機購入して世間を驚かせたが、その後の急成長ぶりは周知の通り。最近もF1レース参戦や英プレミア・リーグのクイーンズ・パーク・レンジャーズ(QPR)買収などでも話題となった。

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