化学大手の三井化学と東レの統合構想が水面下で進み始めた。 メーンバンクであるさくら銀行と住友銀行の合併などを背景に、三井化学は二〇〇三年に住友化学工業との間で統合締結寸前までこぎつけたものの、思惑の違いが表面化。土壇場で決裂した苦い経験がある。それが再び統合に動き出すのは、「三井化学単独の規模では世界競争には勝てない」(同社幹部)という危機感が社内に募っているからだ。 二〇〇六年度中に予定される商法改正により、外国企業による株式交換での国内企業買収が一部解禁されることも背景にある。世界最大の化学メーカー、米デュポンに比べれば、三井化学の時価総額は約四千三百億円と十分の一程度にすぎないのだ。 一方、東レは、今なお社内で一番の影響力を保持しているといわれる前田勝之助名誉会長(七三)が「統合には前向き」(東レ関係者)だという。三井化学は前田氏が東レにとどまっているうちに統合を進めたい考えだ。 住友化学との統合決裂以来、めっきり評価の下がってしまった三井化学は、東レとの大統合で活路を開けるのか。化学業界は両社の動きを注視している。

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