台湾の馬英九総統が先週、尖閣諸島問題において「中国と協力しない3つの理由」を明らかにした。面白かったので分析を試みたい。馬英九は台湾人の中国ビジネスマン「台商」たちの前でこんな風に話したという。

 1、中国共産党は日華平和条約を否定している。

2、馬政権が提案した東シナ海平和イニシアチブを中国共産党は一切無視している。

3、中国共産党が、台湾が日本と主権問題や漁業問題を議論することに反対している。

 1については、やや分かりづらかったのか、台湾内でもいろいろな形で議論されてしまい、外交部のスポークスマンが「補充」の説明を行なっている。それによれば、日清戦争の末に結ばれた下関条約は尖閣諸島を含めた台湾を日本に割譲したもので、ポツダム宣言とカイロ宣言で日本は占領した中国の領土を中華民国政府に返さなくてはならない。これが台湾(中華民国)が尖閣諸島の領有権を主張する根拠であり、中国共産党が日華平和条約を否定している以上、協力できないという論理だ。

 中華民国の立場に立てば、それはそういうことなのかも知れない。ただ、日華平和条約がすでに日中国交正常化に伴う日本側の終了宣言によって実効性を失っており、中国側にこれを求めるのはどだい無理な話である。

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