人事総顧問・江沢民の大逆襲

執筆者:藤田洋毅2013年3月5日
 胡錦濤(左)主導の人事はなぜ覆ったのか(中央は江沢民、右は温家宝)(c)AFP=時事
胡錦濤(左)主導の人事はなぜ覆ったのか(中央は江沢民、右は温家宝)(c)AFP=時事

今日5日、第12期全国人民代表大会第1回会議が開幕、昨秋の党大会で総書記に就いた習近平が国家主席の座も胡錦濤から引き継ぎ、「接班(政権交代)」作業が完了する。習率いる中国の新たな指導体制がスタートするにあたり、いかにして「接班」が成し遂げられたのかを精査し、習体制の行方を展望した。

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 「作成する資料が、10部から7部へ一気に減りました」――中国共産党首脳の事務部門・党中央弁公庁に所属する中堅幹部がふともらした一言は、権力中枢に起きた変化を如実に物語る。最高指導部である政治局常務委員会は従来は9人で構成、最も機密性が高い内部文献は正式メンバーに江沢民元総書記を加えた10部準備しなければならなかった。ところが「今は正式メンバー7人分だけ」を準備すればよい。昨年11月に開催した党の第18回全国代表大会、いわゆる第18回党大会(18大)閉幕当夜から変更したという。

 

非公開の内部文献「内参」とは

「内部参考資料」、略して「内参」と総称する非公開の内部文献を、党は機密性の高い順に「絶秘」「機密」「秘密」の3種に分け、職務ランクに応じて配布・閲覧範囲を定める。例えば、「絶秘」「機密」なら、テーマと内容に応じ党中央委員以上の高官に配布し、関係部門の次官・局長級幹部は単位(職場)内では閲覧できても単位外には持ち出し禁止などと細かく指示。コピーすると真っ黒になる特殊な用紙を使ったり、通し番号をふって閲覧後に回収したりして、内容が漏洩しないよう厳格に管理している。

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