【アメリカ大統領選挙】 コロラドは「勝者総取り」をやめるのか

執筆者:ルイス・ジェイコブソン2004年11月号

大統領選当日、選挙制度そのものの改革を問う住民投票がコロラド州で行なわれる。結果次第では二〇〇〇年のフロリダ州同様の大混乱も……[ワシントン発]アメリカの大統領はいかに変わった方法で選ばれるか――二〇〇〇年の大統領選挙は、これを天下に知らしめた。つまり、どの候補が最も多く得票したかではなく、どれだけ多くの「選挙人」を獲得したかで選ばれるのだ。だが今年の大統領選挙の投票日当日の十一月二日、この伝統を変えるかもしれない住民投票がコロラド州で行なわれる。 各州の「選挙人」数は、上下両院の議席数に従って決められる。上院議員は各州二人、下院の議席は人口によって定められる(2+下院議員数=各州選挙人数)。そして、五十州と首都ワシントンの選挙人(三人)総数五百三十八人のうち、過半数の二百七十人を獲得した候補が大統領に当選する。 この制度は、建国時の指導者らによって一七〇〇年代末に作られた。当時は未知の制度であった民主主義の暴走を防ぐことが目的だった。有権者の直接投票ではなく、教育の高い選挙人の“賢明な”選択により大統領を選ぼうとしたのだ。次第に選挙人は有権者の意思を尊重するようになり、当初意図された間接選挙は形骸化した。だが、制度としての選挙人制度は過去二百年以上、ほとんど変更されることなく続いてきた。

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