江・胡・習「それぞれの勝利」の中身

執筆者:藤田洋毅2013年3月12日
 中南海の権力闘争はこれからも続く(胡錦濤前総書記=左=と習近平総書記)(c)AFP=時事
中南海の権力闘争はこれからも続く(胡錦濤前総書記=左=と習近平総書記)(c)AFP=時事

 第18回党大会(18大)では、誰が勝利し誰が敗北したのだろう。筆者は、前述したように昨年11月、「胡錦濤の完敗」と題して報告した。だが、読みが浅かったようだ。

 国務院老幹部の観察は、最も説得力を持つ。

「三方とも勝ちました。江沢民は党最高指導部で圧倒的な多数を握り、胡錦濤は軍指導部に強固な足場を築いた。習近平は、党・国家・軍の三権を一挙に握って強力な政権基盤の基礎を確保しました」「毛沢東時代の你死我活・我死你活(=生きるか死ぬかの過酷な政治闘争)はなくなった。それでも、鄧小平以降も2人の総書記が座を追われたのは言うに及ばず、江・胡治世下には3人の政治局員が失脚した。烈しい権力闘争は、我が党のお家芸ですよ」と笑い飛ばし、真顔に戻って断言した。「今回は、違う」「ただしお互いに勝利とはいえ、それぞれの勝利の中身を吟味しなければならない」。

 

劉雲山を支持していた胡と習

 最高指導部である政治局常務委員は、全7人のうち4人が江への忠誠を貫く江べったり派。いずれも政治局員から昇格し、3月3日に開幕した全国人民政治協商会議で政協主席に就任した序列4位の兪正声、同じく5日開幕の全国人民代表大会で全人代常務委員長に就く同3位の張徳江、筆頭副首相に内定済みの張高麗に加え、宣伝担当から党務を主管する常務(筆頭)書記局員に上がった劉雲山。

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