中国が十月十九日に打ち上げに成功した中国初の静止気象衛星「風雲二号C」について、早期警戒衛星ではないかとの見方が米軍関係者などの間で出ている。赤道上空の東経一〇五度(シンガポールのほぼ上空)に位置してアジア全域をカバーし、赤外線センサーをもつ同衛星は、「弾道ミサイルの発射を探知する能力を兼ね備えている」(米軍筋)というのだ。 中国はこれまで、地球を“南北”に回る極軌道気象衛星「風雲一号」を四基打ち上げたが、「風雲二号」はこれに続くもの。二〇〇六年までにもう一基、さらに新型の「風雲三号」の打ち上げも計画している。また、欧州との間で全地球的なナビゲーションシステム「ガリレオ」計画で協力体制を組むことでも合意した。 中国外務省の章啓月報道官は「軍事目的とは非常に馬鹿げており、冷戦思考を放棄するよう忠告申し上げたい」と反論するが、中国の急速な宇宙進出がアジア太平洋での軍事バランスに影響を与えるのは間違いない。日本国内にも早期警戒衛星保有論が出てくることが予想される。

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