ドイツを筆頭とするユーロ諸国の強硬姿勢にキプロスの人々は反発(c)EPA=時事
ドイツを筆頭とするユーロ諸国の強硬姿勢にキプロスの人々は反発(c)EPA=時事

 3月決算期末を迎えた日本をキプロス・ショックが襲った。人口100万人にも満たない地中海の小国であるキプロスの銀行取り付け騒ぎである。大した問題ではないはずだが、経営者も投資家もアベノミクス相場でちょいと浮かれすぎていたようだ。カネ余りの株高は続くとしても、春の嵐のように振幅の大きな局面を迎えつつある。

 キプロスといっても、地図上の場所が思い浮かばない人が多いだろう。トルコの小アジア半島の南に位置する小動物のような形をした島といったら理解いただけるだろうか。ギリシャ系とトルコ系の住民が衝突したキプロス紛争を機に、国連軍が介入したことを、年配の方なら思い出すだろう。ギリシャ系とトルコ系に島は二分されている。

 

キプロスを潤してきた「ロシアの資金洗浄」

 そのキプロスの収入源は金融と観光だった。金融業が盛んなのは、銀行の総資産規模が2013年1月末時点で国内総生産(GDP)の7倍強にのぼることからも理解できよう。銀行の存在が不釣り合いに大きすぎる。ほかでもない。ロシアからの逃避資金を幅広く受け入れ、洗浄(ロンダリング)する役目を果たしてきたからだ。

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