中国の新指導部で首相に就任した李克強は非常に英語が達者であるという。中国の新華社など公式メディアが盛んにその点をアピールしていた。いまどき指導者の英語のレベルがニュースになるのも不思議な気がするが、過去に中国の指導者で英語が流暢だった人はあまりいなかったことも関係しているだろう。

 李克強は自宅でも妻や娘と家族で英語を使っているというエピソードも紹介されていた。かなりの英語マニアに違いない。李克強の英語力をチェックしてみることにした。

 2年ほど前、香港の香港大学創立100周年の記念式典で、当時副首相だった李克強は英語でのスピーチを2分ほど行なっている。最初は中国語だったが、最後は英語で締めくくった。香港大学は英語教育で有名な大学ではあるが、香港における英語は英国植民地の歴史が残した「負の遺産」でもある。李克強が英語を使う必要があったかどうか疑問だが、あえて英語のスピーチに挑んだところに、英語に対する自負心とこだわりを感じる。

 ユーチューブに残っている李克強の英語スピーチを聞いてみると、少し緊張していたのか、development(発展)やprosperity(繁栄)など基本的な単語で発音の間違いが目立った。それでも全体としては流暢な英語であることは確かで、英語力の高さが本当であることは確認できた。ただ、いかにも中国共産党の幹部といった感じの演説調の英語だったのが残念で、もう少しソフトに語った方が聞く方は安心できるところがある。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。