小沢一郎は2年待てるか

執筆者:2004年12月号

 例年にない猛暑に見舞われた今年。八月下旬、民主党代表選を目前に控えた小沢一郎前代表代行にとって、ひと際暑い夏だった。 岡田克也代表の無投票再選が確定的になっていた中、小沢氏は“刺客”の擁立を画策していた。「国家観のない岡田が代表のままでは政権はとれない」 腹心議員を赤坂の個人事務所に呼んだ小沢氏は、党内の各グループの勢力と相関関係を克明に描いた一枚の紙に目を落とした。前田雄吉衆院議員に作らせた、後に永田町で「Mチャート」と呼ばれるようになる資料によれば、自身を軸にした「反岡田派」の勢力は岡田支持派の数を上回り過半数を握れる。代表選になれば勝てると小沢氏は確信した。それには旧自由党グループと彼を支持する若手議員の勉強会「一新会」に加え、保守系を束ねる鳩山由紀夫元代表や、旧民社党系、旧社会党系の結束が条件だった。「鳩山を代表選に立てろ」 小沢氏が檄を飛ばしたのは、八月末の代表選告示の一週間前のことだった。 だが、七月の参院選で躍進を果たした岡田氏を代表の座から引きずり降ろす大義名分はなく、鳩山氏も岡田氏の再選支持をすでに表明しており首を縦に振らなかった。党内世論を読み間違えた小沢氏の誤算だった。

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