欧州リーグと中東マネー

執筆者:星野 智幸2013年4月22日

 4月上旬に行なわれた欧州チャンピオンズリーグ準々決勝、バルセロナ対パリ・サンジェルマン(以下パリSG)の試合。内容的には、世界最強の1つであるバルセロナに対し、パリSGは一歩も引かず、ホーム、アウェイとも引き分けた。惜しくもアウェイゴール数の差で敗退したが、強豪復活を世界中に印象づける好ゲームだった。

 

カタール、ドバイ、アブダビ……

 競り合うバルセロナのメッシ(右)とパリ・サンジェルマンのベッカム (C)AFP=時事
競り合うバルセロナのメッシ(右)とパリ・サンジェルマンのベッカム (C)AFP=時事

 このコラムで注目したいのは、両チームのユニフォームの胸のスポンサーである。バルセロナの胸には「カタール財団」、パリSGには「Fly Emirates」。ご承知のとおり、カタール財団はカタール王室の運営する巨大なNPO(非営利団体)であり、エミレーツはドバイの航空会社だ。いずれも、中東マネーがメインスポンサーを務めているのである。ちなみに、バルセロナがパリSGの前にベスト8を賭けて戦ったイタリアの名門ACミランの胸にも、「Fly Emirates」の文字があった。

 それだけではない。パリSGのオーナーの座には、2年前にカタールの投資会社が就いた。そのオイルマネーで、ACミランからイブラヒモビッチやチアゴ・シウバら主力選手をごっそり引き抜き、他にも有望な選手を次々と購入、また、フロントの幹部と監督にはACミランで一時代を築いた大物を就任させた。まるで、イタリアの経済危機で傾きつつあるミランを、カネの力でパリに移したような出来事だった。

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