道路建設をめぐって、ブータンと中国の関係がぎくしゃくしてきた。ブータンに強い影響力を持つインドの影もチラついている。 ブータンによると、中国がチベット自治区で建設している道路網の一部が、首都ティンプー北東のブータン領内に十数キロ入り込んでいるという。 ブータン政府からの抗議を受けた中国側は、ちぐはぐな対応を見せている。当初は、道路の支線が誤ってブータン領内に入ってしまったと説明。さらに、古い地図を持ち出して、問題の箇所がチベットに含まれていたとも弁明し、その後は、道路建設がブータンの観光に役立つとまで言い出した。 中国のこうした説明をブータンは受け入れるつもりはなく、あからさまな領土の侵害だと抗議。国連に提訴することも考えている。 この強硬姿勢の背景にはインドの存在がある。二〇〇四年初め、ブータンはそれまで領域内での活動を黙認してきたインド反政府組織に対し、軍事行動を起こした。これはインド治安当局からの圧力を受けてのこと。 今回も、インド政府はブータンから詳細な説明を受け、この問題について非公式に中国と協議する用意があるという。

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