霞が関「最小官庁」環境省の嘆き

執筆者:秋谷葉一2005年1月号

「いやあ、受難の年だった。京都議定書や環境税もあって、ウチの存在感が出たのは嬉しいんだけどね」 環境省のあるOBは、過ぎゆく一年をそう表現してみせた。「受難」と称したのは、地球環境に関連して注目を集めた新興官庁が、その陰で降って湧いた難題に直面していたからである。 大型の新法である「自動車リサイクル法」の本格施行(二〇〇五年一月)を前にした準備や、新潟県中越地震、相次ぐ大型台風などで発生した廃棄物処理の采配に追われて繁忙を極めていたこの秋、環境省は三位一体改革による廃棄物処理施設補助金の廃止を迫られていた。公共事業に伴うこの補助金は総額で千三百億円。省の年間予算約二千八百億円(二〇〇四年度当初)の半分に迫る屋台骨だ。その全廃を、これまで恩恵を受けていた地方自治体側から突きつけられたのである。 結局、交付金化する形に持ち込んで「最悪の事態」こそ免れたが、予算総額は大きく減額。しかも、マンパワーが絶対的に不足している中で、これまでの補助金とは異なる新制度である交付金交付手続きをゼロから作り上げなければならず、事務方の顔色はどうにも晴れない。「霞が関がもし百人の村だったら、環境省はわずか〇・三人に過ぎない。一人にも満たないなんて笑ってしまいますが、これが現実です」

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