NTTドコモが英国の携帯電話事業者mmO2に、携帯インターネットサービス「iモード」の技術を供与することで合意した。業界の巨人、英ボーダフォンとは異なるタイプの国際連合づくりを目指すドコモは、英国進出をそのステップボードに変えられるだろうか。 二〇〇二年春以来、欧州ではフランスやドイツ、オランダなど計七カ国の事業者がドコモの技術協力を受け、iモードを展開してきた。しかし加入者数は三百万人(二〇〇四年六月末)にとどまっており、「満足できる数字ではない」(ドコモ首脳)。ボーダフォンが二〇〇二年末にスタートさせたデータ通信サービスの「ボーダフォンライブ!」はすでに欧州で一千万人以上の加入者を集めている。 問題は技術面ではなく、これまで提携してきた各国の事業者の位置づけによるものと言ったほうが適当だろう。欧州で携帯電話人口が多いドイツ、イタリア、フランスなどの国々でドコモの提携先はいずれも市場三番手の企業。その頭の上では日本におけるドコモのような旧国営通信系事業者と、ボーダフォンの系列企業が熾烈なシェア競争を繰り広げており、iモードを浸透させるには並大抵の努力では不可能なのだ。 mmO2はどうか。同社は二〇〇一年、BTグループがリストラにからみ分離上場した企業で、国内加入者数は約千三百九十万人。英国はボーダフォン王国と見られがちだが、通信規制当局オフコムによると、実は加入者数ではすでにmmO2がボーダフォンを凌駕している。BT時代から引き継いだビジネス顧客に加え、最近はセンスの良い広告で若者層にアピール。市場飽和が近づく中、加入者数は二ケタの伸びを続け、首位の仏テレコム系オレンジとの差も数十万人。隠れた成長株なのだ。

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