政府・与党が十一月二十六日に合意した国と地方の税財政を見直す「三位一体の改革」は、国から地方への補助金二兆八千三百八十億円を二〇〇五、〇六年度に削減し、見返りに地方に一兆七千七百億円分の税源を移譲する内容となった。 税源移譲額は、〇四年度に実施済みの分を含めて約二兆四千百六十億円で、六月に閣議決定した「経済財政運営と構造改革の基本方針二〇〇四(骨太の方針第四弾)」に盛り込んだ目標の三兆円に届かなかった。また、削減対象となった補助金も、小泉純一郎首相の口癖である「地方ができることは地方に」という趣旨とはかけ離れ、「地方分権の姿が見えない単なる数合わせ」、「官僚と族議員が既得権益を守るため、地方の希望を無視した」などと批判の集中砲火を浴びた。だが、こういう結末になることは、初めからわかっていた。 そもそも「単なる数合わせ」路線は、骨太の方針第四弾に税源移譲の数値目標を書き込んだことから始まった。国と地方の役割分担のあるべき姿についてまともに議論せずに、「地方分権」のキャッチフレーズだけひとり歩きさせた責任は、ひとえに小泉首相にある。数値目標を先に掲げて、中身は役人に“丸投げ”するのは、政権発足時の「国債発行三十兆円」と同じ、いつもの小泉流だ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。