6月1日から横浜で、第5回アフリカ開発会議(TICAD Ⅴ)が開かれる。岸田文雄外務大臣は今年3月、エチオピアで開かれたTICAD Ⅴ閣僚級準備会合で、テロ・治安対策を柱にした総額約5億5000万ドルの対アフリカ支援策を明らかにしている。岸田外相は演説で「人々が安心して経済社会活動に取り組める平和で安全な社会が成長の基盤だ」と述べ、日本企業のアフリカ投資促進にはテロ・治安対策が不可欠との認識を強調した。

 日本政府は今年1月末、イスラム過激派に一時制圧されたマリ北部の情勢安定化への貢献策として、アフリカ連合のマリ支援国際部隊に1億2000万ドルを拠出することも表明している。米国、欧州連合、南アフリカなども拠出表明したが、最も多額の拠出を表明したのは日本だ。

 これら一連の資金拠出が、アフリカにおけるイスラム過激派テロへの対策を念頭に置いたものであることは明らかである。今年1月のアルジェリア・イナメナスの天然ガスプラント襲撃事件で多数の犠牲者を出した国として、現状で可能な限りの支援策を表明したことは評価されるべきだ。アフリカのイスラム過激派対策を重要政策課題に位置付けたことも、日本外交の新たな動きとして注目できる。

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