物流施設はカネを生む――。「在庫置き場」感覚をひきずる日本の不動産市場に、ハイリターンを狙う海外ファンドが目を付けた。 臨海部の貨物用引き込み線沿いに並ぶ古びた倉庫の群れ――。高度成長期から時が止まったような日本の物流インフラが大きく変わり始めた。機関投資家などから資金を集め、不動産への投資でリターンを稼ぎ出す不動産投資ファンドが、新しい配送センターや倉庫を次々と建設しているのだ。 東京都に隣接する千葉県市川市の塩浜地区。二〇〇四年十一月、延べ床面積六万二千平方メートルの巨大物流センターの建設がスタートした。ざっと百億円もの大型プロジェクトだ。今年九月の完成後から日本通運のトラックが頻繁に出入りすることになるが、日通は施設を賃借するテナントに過ぎない。 所有者は世界最大級の不動産投資会社、米ラサールインベストメントマネジメント(イリノイ州シカゴ)が設立した「ラサール日本ロジスティクスファンド」。ラサールは世界で二兆五千億円もの不動産を運用し、物流施設だけでも欧米を中心に五千億円相当を保有する。 日本では、このほか千葉県柏市に土地を取得して十一万平方メートルの物流施設の建設準備に入った。関西や中部地区でも物件取得に向けてリサーチを重ねている。最終的な投資額は前記ファンド一本だけで千五百億円となる見込みだ。

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