崔龍海特使は5月22日に北京に到着し、早速、中国の対北朝鮮窓口の役割を果たしている中国共産党中央対外連絡部の王家瑞部長と会談した。王家瑞部長は故金正日(キム・ジョンイル)総書記が訪中した際にはずっと同行するなどした人物だ。朝鮮中央通信は崔氏と王氏の会談について「朝中関係をより一層改善、強化することをめぐり意見交換した」と伝えた。特使訪問の目的を「朝中関係の改善」としたことは現在の関係が冷却化していることを認めたといえる。

 崔龍海特使は同23日には中国共産党序列5位の劉雲山・党中央書記局書記(党政治局常務委員)と会談した。中国側の報道では、崔特使は「中国側の提案を受け入れ、関係各国との対話を展開したい」と対話に前向きな姿勢を示した。対話姿勢への転換が「中国側の提案」であることを強調する姿勢を示すことで中国にポイントを与える姿勢を明確にした。また経済発展と国民生活改善に集中するため「平和な外部環境をつくりたい」と表明した。

 しかし、北朝鮮側の発表では「両党、両国の老世代指導者たちの心血と労苦が宿っている朝中友好を代を継いで強固にし、発展させようとするのは朝鮮労働党の変わらない立場であると強調した」と報じ、中国側が強調した「関係各国との対話を展開したい」との発言には言及しなかった。劉氏が6カ国協議を早期に再開するべきだと主張したと伝えていたが、朝鮮中央通信はこの発言にも言及していない。

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