シンガポールで行なわれたシャングリラ・ダイアログ(アジア安全保障会議)において、6月1日、日・米・韓の防衛・国防相が、別のステージでは日・米・豪の防衛・国防相がそれぞれに地域の安全保障に関わるコンセンサスを共同声明(記事下に参考資料として添付)として発表した。関心事は、それぞれの国がどのような具体的イメージを描いているかである。日・米・豪の声明が参加国共同の戦略的目標ということで箇条書きされている以外、2つの「3カ国共同」の内容が異なるのは、「日・韓・米」では北朝鮮に対する警戒が強調され、「日・米・豪」ではシーレーンの安全に視点を置いていることである。

 これら共同声明を見て改めて新たな流れを感じた。日本以外の普通の国がこの共同声明を評すれば「日・米・韓は、北朝鮮の動向を警戒、3国間の軍事的共同・協力の強化を約束した」、後者は「日・米・豪は、海洋の安全に関わる海軍力の共同・協力の拡大・強化を約束した」となるであろう。即ちこれは、武力行使を伴う集団安全保障を約することであって、当然ながら集団的自衛権を許容することに直結していく文脈である。

 勿論、軍事力の行使・運用には、地域の平和と安定のため、エスカレーションを惹起しない節度が求められるし、日・米・韓の声明に記されているように国連のお墨付きなどに裏付けられた正当性が求められる。また当然ながら軍事行動は、軍事上の共通原則に則るのであって、自衛隊の場合、日本のお家の事情がどうこうであるから行動を共にできないとは言えないコンセンサスであるはずだ。

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