「アニマル・スピリット」なき愚者の楽園

執筆者:小田博利2005年3月号

隣国の「核兵器保有宣言」にも無反応な人々が「東アジア共同体」を語るお目出たさ。じっと買収を待つばかりの大企業。そんな日本に待つ修羅は……「専制の前線基地(Outposts of tyranny)」のひとつ、北朝鮮が瀬戸際カードを切った。北の核を巡る六カ国協議をボイコットし、自らの核兵器保有を宣言したのだ。北朝鮮外務省が声明を発表したのは二月十日。金正日の誕生日である二月十六日を、核の灯火で祝うかのようだ。 北の「朝鮮中央通信(英語版)」が伝える声明文には、彼らの猜疑心が正直に示されている。「第二期ブッシュ政権による、北朝鮮に対する敵視(antagonize)、孤立化(isolate)、圧殺(stifle)の意図は、極めて明瞭になった」。「彼らは専制の終焉(terminate the tyranny)を最終目標と宣言し、北朝鮮を『専制の前線基地』と認定し、必要なら武力行使も辞さないと喚いている」。 日本についても、まずは対米追従を批判した後に「解決済みの『拉致問題』について偽遺骨問題をでっち上げて、朝日(ちょうにち。あさひではない)平壌宣言を白紙に戻し、国交正常化交渉をストップしようとしている」と非難する。「そんな国と六カ国協議で、どうして同席できようか?」。

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