第二期ブッシュ米政権で留任が決まったばかりのドナルド・ラムズフェルド国防長官に、またぞろ辞任説が流れている。 ワシントンの消息筋によれば、一月二十日にブッシュ大統領の二期目の就任式が行なわれた直後、今後のイラク占領行政をめぐってラムズフェルド長官が陸軍首脳と激しく対立。このことが早々の辞任説の最大の根拠となっている。 同長官はイラクの治安状況を考慮し、数千人に上る民政官を特殊作戦司令部から陸軍の管轄下に移し、同司令部指揮下の部隊をテロ掃討作戦に専念させるよう提案。これに対して、ピーター・シューメーカー陸軍参謀総長らが現場指揮官らの意見に基づき猛反対したという。 同消息筋は「以前からくすぶっていた長官と陸軍首脳の相互不信や不満が一気に噴出した格好だ」と指摘し、ラムズフェルド長官が側近に「イラク情勢に、もはや責任がもてない」と漏らしたと述べている。 同長官は先頃、CNNテレビとのインタビューで、イラクのアブグレイブ刑務所での虐待事件が昨年発覚した後、二回にわたりブッシュ大統領に辞意を伝えたことを明らかにしている。今回の陸軍首脳との“ケンカ”の影響は、その時以上に長びくとの見方もある。 ただ、国防総省では現在、米軍再編問題と直接からむ、四年ごとの国防計画の見直し作業が行なわれている最中。ラムズフェルド長官が本当に辞任するとしても、この見直し作業にメドがつく今夏以降ではないかとの見方が有力だという。

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