TICAD5でも安倍首相の積極外交が目立った (C)時事
TICAD5でも安倍首相の積極外交が目立った (C)時事

 長年のアフリカ研究生活でえた実感だが、「アフリカ」とあればとりあえず目を通してくれるコアの読者は日本全体でおそらく1000人に満たなかった。それが、ここ5~6年でかなり増えた。その最大の要因は中国だろう。中国のアフリカ参入の凄まじさが、日本におけるアフリカに対する関心を拡大したのである。今回のアフリカ開発会議(TICAD5)前後でマスメディアはじめ多くの方々から質問を頂戴したが、そのなかでもっとも多かった質問のひとつが「中国はアフリカで嫌われているのでしょう?」というものだった。

 この質問をされるたびに「どうしてそう思うのですか」「どこでそういう意見を見たのですか」と聞き返したが、明確に答えられた人は皆無だった。どうも、これといった情報や出典を欠いた“風評”のようだ。「アフリカにおける中国の評判はどうですか」というニュートラルな質問でなかったのは、中国への対抗策としてTICAD5を捉えたい、報道したいという思惑があったからだろう。また、「中国が嫌われていてほしい」という願望が日本のなかに存在することを痛感させられた。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。