今年に入って、クウェートがテロ事件で揺れている。これまでも散発的な爆破事件などはあったものの、今年一月のように、治安部隊との大規模な銃撃戦が一カ月の間に四度も起きるような事態は初めてのことだ。 最初の銃撃戦が始まる以前に、クウェートの治安当局はサウジアラビアから警告を受けていた。一月二日、ナッワーフ内務相にサウジから一本の電話が入った。かけてきたのはサウジのナーイフ内相。電話では用件を話せないと言われたナッワーフ内務相は翌日、サーレム国家警備隊長とともにサウジの首都リヤドに赴き、そこであるリストを手渡された。最近サウジからクウェートに極秘裏に侵入した過激派約二十名の詳細なリストだった。 明けた一月四日から、クウェート国内で過激派狩りが密かに始まった。首都クウェートシティーの近郊で治安部隊とイスラム過激派の衝突が起きたのが十日。ナッワーフ内相のリヤド訪問から、ちょうど一週間後のことだ。 その後、当局の必死の捜査によって過激派の主要メンバーは逮捕、あるいは殺害されたとされる。だが、彼らはすでにクウェートの軍や治安組織に浸透し、秘密細胞の創設に成功していたとの説も根強い。 クウェートは、日本の自衛隊を含めたイラク駐留外国部隊にとって重要なルートであるだけに、今後の治安情勢には注目する必要がある。

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