足場が崩れた韓国「日本非難」の虚構

執筆者:黒田勝弘2005年3月号

日韓国交正常化に関する外交文書の一部が公開され、根拠を失った「反日」の矛先は韓国政府に向かっている。[ソウル発]韓国で乳酸菌飲料を大衆的な商品として普及させたのは日本のヤクルトである。「韓国ヤクルト」としてその歴史は三十年以上になり、韓国で成功した日本企業の代表例のひとつである。しかし「ヤクルト」が元は日本の商品であることを知っている韓国人はほとんどいない。 進出当初、韓国の反日感情を考慮してヤクルト側が日本イメージを控えたということもある。その代わりにヤクルトは“薬(ヤク)イメージ”で韓国の消費者の心をつかんだ。それと「ヤクルトおばさん(韓国語ではヤクルト・アジュマ)」によって韓国社会になじみとなった。配達員を女性にし、こぎれいな帽子にユニホーム、そしてカートというおそろいの姿がうけた。 これによって韓国におけるこの種の配達員の社会的地位は一挙にあがった。他の牛乳などの各種配達員の姿もこれにならった。「ヤクルトおばさん」は主婦をはじめ女性のパートによる社会進出の草分けにもなった。韓国社会における一種の文化革命である。 文化革命といえばロッテ・デパートなどもそうだ。韓国での登場はヤクルトより後になるが、日本資本(在日韓国人)のロッテ・デパートは韓国の百貨店文化を一変させた。韓国の百貨店で初めて女性店員が「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」と頭を下げるようになったのである。「お客様は神様です」という日本文化を導入したのだ。

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