公的でも安全でもない「共済組合」の実態

執筆者:吉富有治2005年3月号

相次ぐ認可共済の破綻、そして増え続ける無認可共済を前に、行政もようやく重い腰をあげた。だが講じた対策は、あまりに不十分だ。「共済組合の設立から四十年以上も取り引きをしてきましたが、ずっと“銀行”だと信じていました。三年前にペイオフが話題になったときも集金に来た組合の職員は『ウチは公的機関。民間の銀行や信用金庫よりはるかに安全ですよ』と笑顔で話していたのですっかり安心していたのです。それが突然破綻して預けた数百万円のお金は一円も戻ってこない。“公的機関”なら国や県が補償してくれてもよさそうなものですが、それも一切ありません」 三重県四日市市内で喫茶店を経営する六十代の女性は涙まじりにこう話し、ときに筆者の質問を遮るように怒りの言葉を投げつけてきた。彼女だけではない。「共済組合」の約千五百人からなる被害者の何人もが「銀行より安全だと思っていた」と口を揃え、「公的機関なのに国や県は補償してくれないのか」と憤る。中には九千万円もの大金を失った人も二人おり、自殺未遂や失意の病死、一家離散などその後の人生設計を大きく狂わされた人も少なくない。 被害者たちが指す「共済組合」とは、四日市市の「四日市商工貯蓄共済組合」と「四日市商工共済協同組合」(以下、貯蓄共済と商工共済)。ともに地元の個人事業主を主な組合員とする互助組織で、三年前に経営破綻した。

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