八〇〇メガヘルツ帯の免許取得が事実上潰えた。孫社長の反総務省キャンペーンは“役人の嫌がらせ”を強めたかもしれない。「今日は節分。追儺ですよ。厄払いですよ」 二月三日、携帯電話事業への新規参入問題を話し合う検討会の最終報告を終えた総務省の担当幹部は、そう言って目を細めた。「節分」の鬼は、ADSL(非対称デジタル加入者線)事業の成功を携帯電話事業でも再現したいソフトバンクであり、「厄」は同社の孫正義社長が展開している総務省の電波行政に対する一連の敵対的パフォーマンスを指す。 この日、報告書に「新規事業者向けには、(携帯電話事業に使いやすい)八〇〇メガヘルツの周波数帯は割り振らず一・七ギガヘルツ帯、二ギガヘルツ帯を用意する」という内容が盛り込まれた。これを受けて総務省は、今春には免許方針を作成して新規事業者を募集し、年末には多くて二社が携帯事業参入の切符を手にする見込みだ。 八〇〇メガヘルツ帯の割り当てを求めて行政訴訟まで起こしていたソフトバンクの孫社長は、検討会終了後に「泣き寝入りはしない」とあくまで八〇〇メガヘルツ帯にこだわる姿勢をみせたが、この周波数帯の免許取得は事実上不可能となった。

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