昨年十二月二十九日と三十日、上海証券取引所に上場する四川林鳳控股株が突然、連日のストップ高を演じた。炭素製品や粉末冶金などを生産する同社は二〇〇三年十二月期まで二期連続の最終赤字。もう一期赤字になると原則として上場廃止になる。取引所も投資家の注意を喚起するため、こうした銘柄については社名の略称を縮めたうえ特別処理を意味する「*ST」という記号を付けている。 年が明けて一月四日。事態を訝しんでいた市場関係者たちは納得顔で「インサイダー取引があったのでは」と囁き交わした。四川林鳳が、十二月三十日に地元の四川省自貢市財政局から千二百八十万元(約一億六千六百万円)の特別な補助金を受けとっていたと発表したのだ。 補助金を支給した自貢市は「四川林鳳の困難を解消し、発展を支持する」と説明する。実際、一―九月が約八百二十万元の赤字という四川林鳳の苦境は補助金で一変。同社は今期、最大三百万元の黒字予想を打ち出した。補助金受領の発表から株価はさらに三日間ストップ高。その後一時、四カ月ぶりの三元台も回復している。 一月二十五日、観光業の北京京西風光旅游開発は、同社の劉利華董事長が十五日に地元の検察に身柄を拘束されたと発表した。容疑は公金流用。中国の上場企業ではさほど珍しくない話だが、同社も「*ST」銘柄だったことが見逃せない。昨年十二月二十日に地元の北京市門頭溝区財政局から三千五百万元の補助金を受領。公的支援で上場廃止の危機から救ってもらったばかりだった。

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