またも批判殺到を恐れるNHKの「理事改選」

執筆者:神谷二郎2005年3月号

「消去法で誕生した会長ですから、頼りなさは否めませんね」 あるNHK幹部はそう苦笑する。一月二十五日に「前倒し辞任」した海老沢勝二前会長の後継は技術畑出身の橋本元一前専務理事。永田町で下馬評にのぼったのは年明けからだったが「急浮上」にはワケがあった。 冒頭の幹部は「海老沢は高齢の笠井鉄夫前副会長(経理担当)のワンポイント起用を考えていた」と明かす。「側近の筆頭格だった諸星衛理事をNHK出版など関連会社に出し、自分は顧問として院政を敷いて、ほとぼりが冷めた頃に諸星を専務理事として復帰させるハラだったようです。これは島桂次元会長に追放された海老沢自身が辿った復権コースで“次の次”を諸星にする計画」だったが、顧問辞退で潰えた。「川口幹夫元会長の周辺から曽我健・元NHK交響楽団理事長の名前が出ている」「小泉首相は有馬朗人・元東大総長を起用するサプライズを考えているようだ」「丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長も意欲を見せている」といった観測が流れる中、永田町の一部では河合隼雄・文化庁長官や元NHKキャスターの高島肇久・外務省報道官の起用も取り沙汰された。だが、海老沢はあくまで現在の理事からの昇格に固執したとされる。

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