米国とロシアの確執を招いたプーチン政権による露エネルギー企業ユコスの“弾圧”をめぐり、キッシンジャー元米国務長官が調整に乗り出した。元長官は、プーチン大統領と対立して投獄されたホドルコフスキー前ユコス社長と同じユダヤ系。元長官系列のPR会社とユコスの親会社メナテップは提携関係にもある。 キッシンジャー氏は二月上旬、スロバキアのブラチスラバでの米露首脳会談を前にモスクワを訪問。米国系石油資本によるユコス株買収とホドルコフスキー氏釈放を直接プーチン大統領に打診した。 ユコスはプーチン政権が主力子会社を不当に競売したとして米国の裁判所に提訴中。投資家保護を名目にロシアの国外で司法闘争を継続するには、米資本がユコス株をさらに大量取得する必要がある。 消息筋によれば、キッシンジャー氏はプーチン大統領を「商談」に乗せるため、大統領側近の海外蓄財の暴露をちらつかせたという。長年培った情報力を駆使し、貧困層の味方を演じるプーチン大統領の弱みを突いたとみられるが、財閥叩きを支持率維持に活用する大統領も容易に譲らず、水面下の駆け引きが続いているという。

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