街頭演説でも首相自ら“成果”を強調しているが……(C)時事
街頭演説でも首相自ら“成果”を強調しているが……(C)時事

「アベノミクスは株を持っている金持ちだけが潤っているのであって、庶民の生活はむしろ苦しくなっている」

 参議院議員選挙の選挙戦が始まって、野党によるアベノミクス批判のボルテージが上がっている。安倍晋三首相が進める経済政策はバブルを作るだけで実体経済を良くするわけではない、というのである。その際、しばしば使われるのが、消費が増えていると言っても百貨店で高級品が売れているだけで、スーパーの食料品など生活必需品は相変わらず売れていない、という批判だ。これは本当なのだろうか。

 

消費マインドは緩やかに変化

 日本百貨店協会の統計(店舗数調整前)をみると、確かに「美術・宝飾・貴金属 」の変化は劇的だ。対前年同月比で1月が5.3%増、2月が8.0%増だったものが、3月15.1%増→4月18.4%増→5月22.8%増とうなぎ登りに増えている。アベノミクスでムードが変わったことによって財布のヒモが緩んだのだろう。時計や宝石などが売れているのだ。株高によって資産が膨らみ消費におカネがまわる「資産効果」も生じているようにみえる。

 もっとも、百貨店全体の売り上げが大きく増えているわけではない。全商品合計の売り上げ増減は、1月1.0%減→2月0.3%減→3月3.3%増→4月0.7%減、5月2.4%増といった具合だ。こうみると、高級品だけが突出して売れているようにみえる。野党のアベノミクス批判が正しいのだろうか。

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