ライブドアとフジサンケイグループによるニッポン放送争奪劇から、知っておくべき乗っ取りの「法と経済学」を学ぶ。 三月十一日、東京地方裁判所がライブドアの主張を認め、ニッポン放送に対してフジテレビジョンを引受先とする新株予約権の発行を禁止したことにより、ライブドアとフジサンケイグループによるニッポン放送争奪戦は、一つの局面を終えた。 フジテレビは三月七日に締め切ったニッポン放送に対する株式公開買い付け(TOB)に成功し、約三六・五%(議決権ベースで約四割)の株数を確保した。一方のライブドアは約四五・五%(七日時点、議決権ベース)を保有する筆頭株主である。二五%超の株数獲得を目指したフジテレビのTOBは一応成立したものの、将来ライブドアの持ち株比率を落としフジテレビを筆頭株主に押し上げることを狙った新株予約権の発行が差し止められ、ニッポン放送がライブドア傘下に入る可能性は依然残っている。 株式公開企業の経営者、社員にとって、敵対的企業買収はいまや他人事ではない。政府、国会、財界を巻き込んだ敵対的買収防衛論議も熱を帯び始めている。ただ、敵対的買収そのものは悪徳行為ではない。ときに防衛策こそが企業や社会への背信行為ともなる。ニッポン放送事件や海外事情から、株式市場の秩序と健全な企業統治に不可欠な、乗っ取りの「法と経済学」を考えてみる。

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