小泉首相は郵政民営化一本槍。それが片付けば必然的に「ポスト小泉」争いが幕を開ける。そこには財務官僚が喜びそうな政治課題が――。「国民は根本的なところで不安を持っている。財政の将来、そして日本経済の将来。このまま国際競争力を持った経済を維持できるのだろうか。政府が声をあげないので、政治主導で財政改革を進めていきたい」 口火を切ったのは、与謝野馨政調会長だった。二月二十八日、自民党本部六階。「財政改革研究会」(会長・与謝野氏)の初会合が開かれ、冒頭のあいさつから財政再建の必要性を延々と訴えたのだ。 メンバーも派閥や税制調査会、族議員などに目配りして集められていた。座長は柳沢伯夫政調会長代理。顧問には武部勤幹事長と久間章生総務会長の党三役のほか、党税制調査会から津島雄二会長や伊吹文明小委員長が名を連ねた。参議院から青木幹雄議員会長と片山虎之助幹事長が参加したほか、古賀誠道路調査会長や丹羽雄哉社会保障制度調査会長など族議員のボスたちも顔をそろえた。この研究会が単なる財政再建を目的としていないことは、その布陣からもうかがえる。 国の借金である国債発行残高は二〇〇五年度末で五百三十八兆円に達し、初めて国内総生産(GDP)の規模を上回る見込みだ。財政は事実上の破綻状態。今後、少子高齢化の進展に伴い社会保障費が拡大することを考えれば、歳出面だけでなく歳入面からも財政を手当てせざるをえない。現在の保険料方式はすでに限界に達している。代わりの財源として考えつくのは、消費税率の引き上げしかない。彼らが見据えているのはそのタイミングだった。

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