ロシア軍が7月13日から20日まで、東部軍管区で「ソ連崩壊後最大規模」(ロシア国防省)の軍事演習を抜き打ちで実施し、プーチン大統領も現地視察した。今回の演習に「中国の脅威」が影を落としているのは間違いないようだ。

 抜き打ち演習には、東部軍管区を中心に兵力16万人、戦車1000両、航空機130機、艦船70隻が参加。東部軍管区の兵力は16万人以下で、中部軍管区からも動員されたようだ。近年の軍事費増や兵器の更新を受けて、軍の機動力や作戦遂行能力、緊急展開能力などをチェックする狙いがある。サハリン州とチタで演習を視察したプーチン大統領は「任務は完遂され、申し分ない」と評価した。

 抜き打ち演習は7月12日、プーチン大統領とショイグ国防相の会談で急きょ決まった。昨年まで非常事態相を十数年務めた新任のショイグ国防相は抜き打ち演習が好きなようで、5月の南部でのミサイル攻撃対策訓練、6月の北部での空軍スクランブル訓練に次いで今年3回目。今回の演習地域は3000キロ以上に及び、ソ連時代にもなかった最大規模の抜き打ち訓練とされる。

 

オホーツク海に入った中国軍

 時系列にみると、「中国の影」が読み取れる。抜き打ち演習が発表されたのはモスクワ時間7月12日夕刻だが、5日から12日までウラジオストク沖の日本海で中露合同海軍演習が行なわれていた。翌13日、抜き打ち演習命令に沿ってロシア太平洋艦隊の16隻が宗谷海峡を通過してオホーツク海に入り、軍事演習を行なった。問題は、続く14日に、中露演習に参加した中国海軍艦船7隻のうち5隻が、やはり宗谷海峡を通過してオホーツク海に入ったことだ。

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