保革、貧富、世代――国内対立を深めながら政権発足三年目を迎えた盧武鉉大統領は、効果を知りつくす「反日カード」を切った。[ソウル発]盧武鉉大統領の突然(?)の反日外交は、外交通商省など外交当局とは事前の相談なしに一方的に行なわれた。三月一日の「三・一独立運動記念日」の演説に始まり、十七日の国家安全保障会議(NSC)による対日外交方針発表、二十三日の対国民メッセージまで、相次いで打ち出された矢継ぎ早の激しい日本批判に、外交当局は戸惑うばかりだ。外交には相手があり、これまでの積み上げがある。しかし盧大統領はそれを無視し、青瓦台(大統領官邸)でひとりパソコンに向かって反日外交をまとめたという。 盧大統領の対日独自外交は日本を戸惑わせているだけでなく、韓国の外交当局をも大いに当惑させている。大統領のあまりの独走ぶりに「外交は外交当局に返せ」といった批判の論評も新聞には出ている。日韓の外交当局者はともに盧大統領の外交破壊の“被害者”として対応に苦慮している。 日韓外交において領土問題と歴史認識問題は古くからの懸案で、今、直ちにどうなるという問題ではない。だから外交としてはその都度、タナ上げしてきた。それが外交というものだが、それを「もう放置できない」、「外交戦争」を覚悟に「根こそぎ解決する」というのだ。えらく肩に力が入っている。

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