どん詰まり北朝鮮

執筆者:徳岡孝夫2013年8月7日

 高性能ミサイルのパーツを積んで北朝鮮に向かう途中の北朝鮮貨物船が、パナマ運河に入ろうとして制止された。パナマ官憲が船内を立ち入り調査したところ、積荷の砂糖25万袋の下から、北朝鮮が輸入しないと約束している高性能ミサイル用の機器が出てきた。船荷目録(それをマニフェストと呼ぶ)に記載されていない貨物、つまり密輸品である。

 船はパナマ・シティに曳航され、国連安保理は専門家5人による徹底的な調査をはじめるという。

 

 ニュースを聞いて、私は北朝鮮というより金正日一家が行なってきた武器や麻薬の密貿易が、とうとう「どん詰まり」に来たなと感じた。

 あの国は国際法に、また人道に反する数々の行為を行なってきたが、それを認めたのはこれまで1度だけである。下校する途中の中学1年生・横田めぐみさんの拉致や、その前後に行なった拉致事件だけ。

 金正日は小泉首相に会って、「一部の者がやった」「もうしない」と約束した。それ以外は「犯行」を否定するか日本その他のデッチ上げだと強弁するかだった。

 

 そのうち最もred-handed (現行犯)と言えるのは2001年12月の九州南西沖・北工作船自沈事件である。海上保安庁の巡視船が追うのを全速力で逃げようとし、逃げ切れないと見るや発砲し、最後に自沈した。一部始終は、いまもネットの動画で見ることができる。

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