外国生れでもアメリカ大統領になれる?

執筆者:ルイス・ジェイコブソン2005年5月号

 何人も、出生による合衆国市民あるいはこの憲法確定時に合衆国市民でなければ、大統領となることはできない――アメリカが外国の影響下に落ちないよう、建国の父たちは憲法にこの一文を加えた。 だが、二百三十年近くが過ぎた今、外国生れだからといって大統領になれないのは時代遅れだと考える人も増えてきた。国務長官を務めたヘンリー・キッシンジャーとマデリン・オルブライトは、大統領に万が一のことがあった場合、本来ならば副大統領、下院議長、上院議長代行に次いで四番目にその職を継ぐ地位にあったが、移民出身だったために彼らの時代は国務長官をとばして財務長官へと続くことになっていた。 一八八〇年代以降、外国生れの市民にも大統領への道を開こうと、憲法改正の動きが少なくとも三十五回は繰り返されたが、どれもうまくいかなかった。 そこに現れたのが、映画スターにしてカリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツェネガーだ。一九四七年、オーストリアで生れた彼は、移民後、俳優として成功してアメリカに帰化。リコール選挙を経て二〇〇三年に州知事に選ばれたのは周知の通りだ。共和党から立候補したが、穏健な政治姿勢には民主党からも熱い視線が注がれる。

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