次なるローマ法王に「意表の人選」はあるか

執筆者:シルヴィオ・ピエールサンティ2005年5月号

[ローマ発]四月八日に行なわれたローマ法王ヨハネ・パウロ二世の葬儀には、ブッシュ米大統領をはじめ二百人もの国家元首や指導者が列席し、世界中から三百万人以上の信者が駆けつけ、さらには億単位の人々が五大陸に中継された葬儀の様子をテレビで見守った。 何がこれほどの人々を引き寄せたのか。それは、二十六年に及ぶヨハネ・パウロ二世の統治が前例のないものだったからだ。世界百三十カ国・地域を旅し、祖国ポーランドの民主化に寄与した一方で、イラク戦争への反発から訪米を忌避するなど、常に世界のメディアの注目を集め続けてきた。ヨハネ・パウロ二世を受け入れなかったのは中国とロシアだけで、法王は最後までこの二カ国訪問を願っていた。 次期法王を決める選出会議コンクラーベは四月十八日に始まり、百十五人(二人病欠)の枢機卿がシスティーナ礼拝堂に籠って後継者を決めることになる。今回、枢機卿たちが集まって最初に決めたのは、法王に「偉大なる者(The Great)」の称号を与えることだった。これは、二千年の教会の歴史で「レオ一世(四四〇―四六一年)」「グレゴリウス一世(五九〇―六〇四年)」の二人にしか与えられていない。またバチカン筋によると、法王は早ければ十月にも「聖者」に公認されそうだ。死後最低五年はかかるのが通例だが、今回は数カ月で認められる見通しだという。

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