中国最大の家電メーカー、ハイアール(海爾)が日本撤退の危機に瀕している。 米国では冷蔵庫で四〇%のシェアを占めるほか、東南アジアでも低価格を売り物に抜群の知名度を誇るが、「日本ではハイアール・ブランドの知名度は低い」と張瑞敏CEO(最高経営責任者)が認めるほどの不振。進出の足がかりとして二〇〇二年五月に三洋電機と販売会社「三洋ハイアール」を設立したが、売上高は〇二年度十億、〇三年度三十億、〇四年度(見込み)四十七億円と、目標の年間百億円には程遠い状態だ。 一方、「東南アジアや中国でハイアールの販路を借りて三洋製品を売り込もう」と目論んでいた三洋にしても、最近では東南アジアに自社で現地市場向けの開発拠点を設立するなど「ハイアールと組むメリットが薄れてきた」(三洋電機幹部)。そのため、提携解消も視野に入れ始めたという。三洋は、会長兼CEOに迎える野中ともよ氏がブランド力の強化を吹聴していることもあって、「日本の高い技術にはまだ及ばないハイアールは、イメージ的にもいい効果はない」(同前)と、提携継続への熱意を急速に失っている模様。 三洋自身、赤字が止まらず、「松下電器に吸収」(電機業界関係者)とのシナリオも囁かれる中、新経営陣はハイアールとの関係をどうするのか。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。