ケリがついたのは「資本のねじれ」だけ。グループ経営は手探り状態のはずだが、鈴木氏はもはや“殿上人”――「イトーヨーカ堂グループは富士電機グループと似ていますね」。今年初め、こんな指摘を受けたヨーカ堂グループ代表の鈴木敏文氏(ヨーカ堂会長兼CEO=最高経営責任者)は、しばらく言葉に詰まったという。 確かに同じ「親子孫三代」だ。富士電機グループは重電の富士電機からコンピュータの富士通、そして富士通から産業用ロボットで世界シェア五〇%のファナックが育った。ヨーカ堂のほうも総合スーパーのイトーヨーカ堂からコンビニエンスストアのセブン-イレブン(以下、セブン)・ジャパンが生れ、いまやグループ全体の利益の九割強を稼ぎ出す日本最大の小売業に成長した。そしてこの数年は、決済専門のコンビニ銀行としてスタートしたアイワイバンク銀行の業績が急伸している。 ただ、富士電機は業績が苦しくなると保有する富士通株を売却して一息ついた。その“孝行息子”の富士通も今年二月、有利子負債削減などのためにファナック株を大量売却した。三代にわたるグループ外への株式売却によって、もはや資本関係について言えば富士電機グループはグループの体をなしていない。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。